研修と効果測定 お役立ちコラム2024.10.30
「研修は効果がない」と言われる根拠として、研修は効果測定できないことが理由に挙げられます。研修の効果を測定することは可能でしょうか。その可否や効果測定方法について解説します。
この記事でわかること
- 研修は効果測定できるのか
- 効果測定にはどのような手法があるのか
- 効果測定に関する今後の課題
かつての研修と効果測定
かつては、企業で研修を実施する場合にその「効果測定」まで行うことはほとんどありませんでした。「企業研修」といえば、実施することそのものが目的とされていました。もちろん、多くの企業は研修を社員の能力向上のための施策として位置づけてはいました。ただ、研修後にその成果を確認するというプロセスは整備されていなかったのです。
そのため、例えば知識を提供する研修では、その内容がどれだけ社員に浸透し、実務に活かされているかを測定する手法が存在せず、結果として「やりっぱなし」の研修が増えていました。研修終了後にアンケートを実施することはあっても、それは受講者の「感想」を集めるにとどまり、研修の質や効果を評価するための指標としては限られたものでした。
結果的に、研修を受けたこと自体が目的化し効果の検証が行われず、研修に効果があったのか否かは、研修を実際に受けた個人や担当者がどう感じたか、という属人的なところで留まることが多い状況でした。
研修の目的と効果測定
そもそも、研修の目的とは何でしょうか。研修の目的は大きく2つに分けられます。1つは、会社が業績を上げ成長することです。「会社」が営利法人という性質上当然のことと言えます。そしてもう1つは、社員の成長です。社員個人の成長は、個人のためだけではなく、1つ目の目的である会社の成長に繋がります。
これらの目的のために「研修」という施策が実施される以上、その目的が達成できたのか否かの判断がおこなわれるのは通常のことです。以前は研修はその実施が目的になっていましたが、今では、研修の効果を正確に測定し目的が達せられたかの確認を行い、同時に測定結果を基に研修内容を改善していく流れが主流となってきています。
効果測定の方法
では、どのような方法で効果測定が行われているかをご紹介していきます。
1. 受講者の反応評価
これは最も基本的な効果測定の手法で、研修が終了した直後に参加者にアンケートを実施し、研修内容に対する感想だけではなく、満足度や理解度を数値化して確認します。この手法の利点は、参加者の生の声をすぐに収集できる点にあります。満足度の高い研修は、参加者がポジティブな経験を得たことを示し、内容への関心やモチベーションの向上が期待できます。
しかし、この反応評価だけでは、実際に業務での行動変化や成果に結びついているかどうかを確認することはできません。したがって、あくまで一部の指標として捉える必要があります。
2. 学習の測定
次に、受講者が研修を通じて実際に学んだ内容を確認するために、テストや実技試験を行う手法があります。この方法では、研修で提供された知識やスキルがどれだけ習得されたかを明確に測定することができます。例えば、ITスキルの向上を目的とした研修では、具体的なソフトウェアの操作や問題解決能力を試す実技テストを行い、その結果から受講者の習熟度を評価します。このようなテストは、研修の即時的な効果を測定する手段として効果的ですが、長期的な学習効果や職場での実践度を測定するには限界があります。
3. 行動変容の測定
研修の効果が実際の職場でどのように現れているかを確認するためには、受講者の行動変化を測定することが重要です。この手法では、研修後の職場での行動を観察し、上司や同僚からのフィードバックを通じて行動の変容を評価します。例えば、リーダーシップ研修を受けた管理職が、研修前と比べてどれだけ部下とのコミュニケーションが向上しているか、意思決定のスピードや質が変わっているかなどを確認します。これにより、研修の学びが実際の業務にどの程度活かされているかを評価できるのです。
4. 業績への影響測定
最終的に重要となるのが、研修が企業の業績にどのような影響を与えたかを測定することです。これは、効果測定の中でも最も難しい部分ですが、非常に重要です。例えば、売上高の増加や顧客満足度の向上、業務効率の改善など、研修の成果が具体的な数値で現れる場合があります。この段階では、研修が組織全体のパフォーマンス向上にどれだけ貢献したかを評価し、次回以降の研修内容を調整する際の重要な指標となります。
現在の課題と解決策
(1)効果測定の重要性が広く認識されるようになった現在でも、いくつかの課題が残っています。まず、効果測定を行うためのデータ収集と分析には、時間やコストがかかる点です。特に、中小企業においてはリソースが限られているため、全ての研修で詳細な測定を行うことが難しい場合があります。
これを解決するために、まず、デジタルツールやAIを活用した効果測定の自動化が挙げられます。これにより、従来の手作業によるデータ収集や分析が効率化され、短時間で正確な測定結果を得ることが可能となります。例えば、オンライン研修プラットフォームを通じて参加者の学習進捗や理解度をリアルタイムで追跡し、定量的な評価を行うことができるようになります。
また、研修の設計段階で効果測定を見越した目標設定を行うことも重要です。例えば、研修の目的を具体的な行動変容や業績改善に結びつけ、その達成度を測定するための指標を明確に設定することで、測定が容易になります。このようなアプローチにより、研修の効果を事前に見積もることができ、研修後の評価プロセスがスムーズに進むでしょう。
(2)また、定量的な指標だけでは測りきれない「ソフトスキル」の研修効果をどう測定するかという問題も依然として残っています。例えば、コミュニケーション能力やリーダーシップの向上を目指す研修では、行動の変化を数値化することが難しく、その効果をいかに数値として見える化していくかが課題です。
これについては、効果測定に定性的な評価手法を取り入れることは解決の一助となります。例えば、研修後の職場での行動観察や、上司や同僚からのフィードバックを通じて、研修の成果を評価する方法があります。また、心理的安全性やチームの信頼関係の向上といった、数値では表しにくい変化を捉えるための新たな評価基準を導入することも有効です。これにより、目に見えにくいスキルの向上や組織文化の変化を測定することが可能になります。
(3)さらに、短期的な効果に重点を置きがちである点も問題です。研修の成果は、必ずしもすぐに現れるものではなく、長期的に継続して観察しなければならない場合が多々あります。しかし、企業側の期待としては、研修後すぐの効果を求めることが多く、そのために長期的な視点が欠けることがあります。このように、短期的な成果に偏った評価では、研修の真の価値を見逃してしまう恐れがあります。
これを避けるためには、研修を企画する段階で、研修効果は短期的なものだけではなく長期で判断する必要があることを確認し、長期にわたって定期的および定点的に確認する仕組みを作成します。
結論
最近の研修は、効果測定を伴っていることが多くなってきました。定量的に測定できるものはもちろん、それが難しい場合にも定性的な方法など工夫して効果を測定することが可能です。効果測定は一度行って終わりではなく、効果測定結果を基にPDCAサイクルと活用して、その結果を長期的なフィードバックや次回の研修の質の向上に役立てていくことが必要です。
会社の成長と従業員のスキル向上を両立させるため、研修の効果測定を戦略的に活用していくことが、今後の研修計画において欠かせない要素となるでしょう。
最後に
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